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海外勤務中には海外の税金にのみ目が向きがちである。海外の税金について書かれたものは多いが、海外勤務中の日本の税金はいわば盲点になっている。少し気をつければ日本の税金を節税することができる。ここでは見逃されやすい"Tips"を集めてみた。
居住者と非居住者
非居住者の場合の課税対象所得
利子・配当の源泉課税
年末調整されない税金
帰国を年始にすると住民税で得をする?
年末の赴任は有利
住民税の還付
相続税・贈与税
消費税
リンク
海外駐在員の日本の税金Q&A 掲示板です。あなたも投稿して下さい。
- 居住者と非居住者
日本では居住者というのは次のように規定されている。そして、居住者でない個人は非居住者である。
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日本国内に住所を有する個人
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日本国内に現在まで引き続き1年以上の居所を有する個人
ここで、「住所を有する」とはどういうことかということが問題になるが、海外勤務のために出国した普通の個人の住所が国内にあるかどうかについては、国外において継続して1年以上居住することを通常必要とする職業を有するかどうかというのが判断基準である。具体的には、その海外勤務者の海外における勤務期間が契約等においてあらかじめ1年未満とされている場合をのぞき、非居住者と推定することになっているそうである。
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当初2年間の予定で海外勤務者として出国したが、やむを得ず8カ月目に国内勤務者として帰国した場合は、海外勤務中は非居住者として扱われる。
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海外の会社に雇用されるかどうかではなく、実際に海外で勤務しているかどうかによる。ビザは無関係。
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出張で出かけていたが、途中で2年間の滞在が必要となることが決まった。延長が決まった日から非居住者となる。
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出張で出かけていたが、なかなか帰国できず滞在が1年を超えてしまった。1年を超えた日から非居住者。
とはいうものの、杓子定規には運用していないようである。外国との間で二重課税や非課税が生じないというのが、運用の基準のようである。非居住にする以上はどこかの外国で税金を納めるのが暗黙の前提であるようだ。
- 非居住者の場合の課税対象所得
非居住者になると給与所得については国内において行う勤務に起因するものに限り課税される。したがって、国内勤務がない場合はそれが国内で(円貨で)留守家族に支払われても日本においては課税されない。国内勤務のため一時帰国すれば課税される。なお、出国の日までに「年末調整」が行われ、出国までの給与については所得税の精算が行われる(一般的には期間が短いので所得額も少なく、低い税率が適用されるので税金が還付される)。
非居住期間の不動産の賃貸料などは20%の税率で源泉課税されるのだが、確定申告の必要な場合もある。確定申告の必要がある人などが海外に転勤するときは、出発の日までに納税管理人を選任して税務署に届け出る必要がある。
納税管理人とは、確定申告書の提出や税金の納付などを非居住者に代わってする人のこと。
- 利子・配当の源泉課税
日本で預貯金の利子・配当にかかる20%の源泉税のうち、15%は所得税(国税)で残り5%は地方税である。この地方税の分は海外勤務者には課税されないから、銀行などに届けると源泉課税が少なくてすむ。ある証券会社に申し込むと、海外滞在中は保護預かりの証券類の売買はできなくなりますがよろしいかといわれた。
また、この利子・配当所得を外国に申告する場合は、この源泉税について外国の所得税から税額控除ができるケースがあると思われる。
米国への留学生などこの利子所得に対して連邦所得税が課されない場合や、子供名義の預金で本人の所得が少ない場合などは、外国の所得税の税額控除はできない。こういう場合には、日本で日米租税条約に基づいて軽減税率(10%)を適用してもらうと全体として節税になる。
- 年末調整されない税金
日本を出国したらもう日本では税金を支払わなくてよいのかというとなかなかそうはいかない。出国後支給される賞与一時金(いわゆるボーナス)は出国前の勤務に基づいて支払われる部分があることがある。たとえば、12月に支給される賞与は4月から9月までの期間の勤務状況に基づいて支払われると規定されている場合である。もし、7月末に出国した場合は、12月に受け取る賞与の約3分の2は日本に滞在中の勤務に基づくものということになる。この部分については20%の税率で分離課税となっており、給与支払い者が源泉徴収して日本の税務署に支払うことになっている。この税金は分離課税のため、年末調整や確定申告をして還付請求をするということはできない。なお、月払いの部分はこうした取り扱いは不要である。
この部分の所得を外国に申告する場合は、この20%の部分について税額控除ができるケースがあると思われる。
- 帰国を年始にすると住民税で得をする?
1月1日に居住している地方自治体に対し前年の所得に基づいて住民税の納税義務がある。では、年末に帰国することになった場合は、翌年の年始まで帰国をのばすことにすれば、住民税を納めなくてもよいのだろうか?確かに答えは"Yes"である。しかし、年末に帰国しても、前年の所得の大半は海外源泉所得であるため住民税の課税対象外となり、住民税はほとんど無視できる。ただし、年末までアメリカに滞在しないと連邦税をJoint Returnで申告できないため連邦税がかなり高くなる可能性があるのに注意。
- 年末の赴任は有利
1月になってから赴任するのと12月のうちに赴任するのでは住民税の扱いは大きく違う。12月のうちに出国すれば翌年の住民税は課されないのであるから、1月に赴任させるくらいなら前年のうちに辞令を出して赴任させれば企業の人事担当はおおいに感謝されるであろう。
たとえば、共働きの配偶者が勤めを辞めて合流する場合でも、年内に出国すれば翌年の住民税は納税の義務がなくなる。結婚を考えている人も同じである。
- 住民税の還付
出張で外国に行っているうちにずるずると滞在が延び、結果的に長く外国に滞在した場合は1月1日には実際には住んでいなかった日本の市町村に住民税を支払ってしまっている。こうした場合は、市町村役場(区役所)に行って相談すると、住民税が還付されることがある。住民税は額が大きいから、大きな節税になる。正月に一時帰国したかどうかは関係がない。
- 相続税・贈与税
日米の相続税(アメリカでは遺産税)のちがいを利用して相続税対策が可能である。一定以上の資産のある向きは十分検討いただきたい。2000年4月から日本の税法が改正され上記合法的な贈与税の回避手段は使えなくなった。米国の遺産税の解説。
- 消費税
消費税は輸出品にはかからない。外国に住んでいる人が日本でその外国に持ち帰るために買い物(1万円以上)をするときは消費税は免除される。国税庁のホームページで「No.6559
外国人旅行者に免税で販売するには 」を読むと、そうした外国人がよく来るお店のためのアドバイスがのっている(消費税は最終的には消費者が負担することになるが、納税義務者は消費者ではなくお店なので)。
日本人(居住者)がおみやげとして購入する場合(1万円以上)も、同様消費税が免除されるが、その物品は渡航先で贈答用に使うとか、渡航先において消費してしまうとか、2年間は渡航先で使用するとかの誓約書がいるらしい(No.6555
外国へのみやげ品を携帯するとき )。
- リンク
国税庁タックスアンサー
用語解説などがある
税についてのリンクのページ
有効な情報のあるサイトが集めてある。
サラリーマンの確定申告
個人税理士事務所のサイトで最多アクセスとか。
Internet Financial Service
個人の所得税を中心に約250のQ&A・税金・会計・金融の電子掲示板(役に立ちそう)もあり。
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