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市販清涼飲料水の話の巻
そも工房庵主敬白
夏は冷たい飲料が欲しくなる。
市販の夏の飲みものは、昔は甘みの強いジュース類が多かったが、最近は
薄味のスポーツ飲料や甘みのない茶類が多くなった。
コンビニにも甘みの薄いものか無糖の飲みものがズラーッと並んでおり、
そうした流れの中で、我々自身も旧来の甘い飲み物は飲まなくなってきた。
健康飲料ブームかもしれないが、時代によって飲み物の嗜好が変化していく。
ネクターとかチェリオとかは今でもあるのだろうか?
大塚製薬が「ポカリスエット」を出したときは大冒険だったそうだ。
こんな味の飲み物が売れるとは思えなかったのだ。
大塚製薬のホームページによれば、自社が「点滴注射薬のトップメーカーであったことから、リンゲル液をベースとし、味に工夫を加えた」「飲む点滴」すなわち「ポカリスエット」が生まれたのである。
その後、スポーツ飲料系は一世を風靡し、現在の低カロリー薄味飲物時代を形作る大きな力となった。人の味覚とは不思議なものである。
もともとコーヒーや紅茶は缶飲料等としてあったものの、緑茶系は少なかった。
家で簡単に作れる緑茶や麦茶を、わざわざ出来たものを買うという発想がなかったからだろう。
それが、伊藤園が「おーいお茶」を出したところから緑茶類も販売されるようになった。
そして、烏龍茶や麦茶それに各種の茶類をブレンドしたものが次々に現われ、
コーヒーや紅茶類にも無糖のものが登場する。
ミネラルウォーターの販売も結構順調なようである。
結局、お茶や水を含めて、あらゆる飲み物に関して、ボトルや缶で完成品を買うという習慣ができつつあるのだ。
ミネラルウォーターに関しては、「六甲のおいしい水」や「南アルプスの天然水」に代表される日本産のものと、「ヴィッテル」や「エビアン」に代表される輸入物にわけられる。
日本の水は軟水で、海外のものは硬水が多いとのことだが、日本人は極端な硬水を飲むとお腹をこわすらしい。「水が合わない」いことばが示すように、最初の原料である「水」も大切な要素である。
茶類では、ブレンドあるいは混合させたものが人気がある。16種類の原料を使っていることをうたっているものや、ミネラルやビタミン類を添加してスポーツ飲料に近いものもある。
中でも、コカコーラは、「爽健美茶」というのを出した。これはハト麦茶の爽やかさと玄米のコクをメインにしたもので、私はハト麦茶が好きなのでコカコーラ製品の中では一番気に入っている。
JTは「飲茶楼」というプーアル茶のカビ臭さを堂々と押し出したブレンド製品を出した。私は好きだが、これが一般的な日本人に受け入れられるかどうか? 多分大丈夫だろう。
私は、色々の茶類・植物を混合して煮出して作るのが好きで、家でもやたら実験するのだが、ゲンノショウコやドクダミを入れたりするとどうしても不味くなってしまう。ブレンドというのは結構難しいものなのだ。
そう意味からすると、「爽健美茶」「飲茶楼」は確かに上手く作られている。
それから、単原料製品で、一番感心するのはカゴメの「六条麦茶」である。
あの非常に香ばしくてうまみのある味は、どうしても私には出せない。一切の添加物を使っていないそうだが、それでこの味を出すとは、さすがプロだなあと感心する。夏は、冷たい爽快な麦茶に勝るものはないが、これほど奥の深いものだとは知らなかった。
もっとも以上は、あくまで私の好みである。
親しい友人の中に、私とは対照的に「爽健美茶」「飲茶楼」「六条麦茶」もどれも嫌いだという人がいる。どれも「エグイ」「薬臭い」のだそうだ。私は、エグさは全く感じないし、まして薬臭いとは全然思わない。少し個性的な香りがするのは事実だが、そこが「好ましい」と思うのだが・・・・皆さんはどう感じられるだろうか?
もう一度言おう、人の味覚とは不思議なものである。