ブエノスアイレス地下鉄・物語(アルゼンチン・ブエノスアイレス市)


大都市ブエノス・アイレスには東京よりも歴史のある地下鉄があります。観光の足として、またこの地下鉄自身を観光して楽しめると思います。ブエノス・アイレスを訪問した時には是非利用しましょう。


アルゼンチンの首都・ブエノスアイレス市には市民の足として「地下鉄」が利用されています。歴史は大変に古く、東京が大正時代に地下鉄(浅草-上野間:現在の銀座線)を計画した時にこのブエノスアイレスの地下鉄を参考にしたと聞いています。

ブエノス・アイレス市街地には5つの路線がありそれぞれ「A」「B」「C」「D」「E」とアルファベットの名前が付いています。この内の4つの路線は中心部から郊外に放射線状に伸びており、「C」だけが他の4つの路線と交差して郊外電車・ターミナル駅である「レティロ」まで繋がっている。もう一路線でも環状に走る線を作り放射状の4つの路線を結べばもう少し効率が良くなり利用者も増えると思うのです。

(写真)地下鉄の入り口(サン・マルティン駅)

さて、地下鉄は世界的に考えて一般的には「メトロ」と呼ばれているのでしょうか?「サブウェイ」とか呼ばれる事ともあるようです、確かロンドンは「アンダーグラウンド」であったと思います。ブエノスアイレスでは「スブテ」と呼ばれています。「スブ・テラーノ」(英語のアンダーグラウンドにあたる)の略語でしょう。地下鉄の入り口には「スブテ」と書かれていて、駅名の他、路線名、行き先などが表示されています。

料金は70セント均一、どこまで乗っても同じ料金です。窓口で専用のコインを購入し、乗車する時には改札でこれを入れる仕組みになっています。これをプリペイド・カードに移行する準備が進められています。パリなどですと10回の回数券を始めバスや電車との組み合わせ観光バスとの組み合わせなど多彩なチケットを販売していますが、ブエノスアイレスではそのようなものは一切無いようです。

(写真)改札口

それぞれの電車は特徴があるので、時間があれば全路線に乗車して欲しいものです。「B」線の電車には東京の「丸の内線」の電車が使われているのです。小さい時からこの東京でこの路線をいつも利用した作者はあの赤い「丸の内線」と黄色い電車「銀座線」が大好きでした。何時の頃からか全部営団地下鉄は特徴の無い銀色に輝く電車になり、元の赤い色、黄色は一本横に細い線が入るだけになってしまっています。でもあの懐かしい「丸の内線」は現在もブエノスアイレスで現役で元気に活躍しているのです。

(写真)懐かしい地下鉄「丸の内線」(外観)

東京の地下鉄については記憶を辿るしか無いのですが、作者の記憶では最初に出来た「銀座線」と「丸の内線」についてはトンネルの高さを押さえることが出来るブエノスアイレスをまねて、横から電気を取るシステムを採用したようです。三番目の日比谷線については当初から東急・東武に乗り入れることを考えていたようなので、従来型の電車と同様に上部にパンタグラフのある形式を取り、以降東京に建設されて行った地下鉄は皆同じように他の路線に乗り入れるので同じ形式になった。

従いまして、現在一部のブエノスアイレスの路線と「銀座」「丸の内」は同様の形式になっていて、今度は日本から丸の内線の中古電車をアルゼンチンに輸出することになったのだと想像しています。

(写真)懐かしい地下鉄「丸の内線」(電車内部)

電車の中に入ると懐かしい「丸の内線」そのままです。一瞬、東京に来たような錯覚を覚えます。奇麗に清掃はしているのですが、電車は色も変えずそのまま使っています。扇風機には「営団地下鉄」のマークが入っています。他の路線では余り見かけない「シルバーシート」もあります。車内の色調もあの淡いピンク色です。

行き先は当初は「新中野」とか「後楽園」とか付けたままで走行していましたが、最近はきちんと実際の行き先をスペイン語で表示しています。ただ「車掌・運転手」のところには大きく「乗務員室」と書いてありました。

(写真)そのまま「乗務員室」

一所懸命と写真を撮影していると車掌がやって来ました。他の路線や駅構内線のように撮影が禁止かと一瞬思いましたが、「日本から来たのですか?それなら中にどうぞ」と何と仕事中の車掌室に入れてくれました。暗いので写真撮影は出来なかったのが非常に残念なのですが、機器類は日本語で書かれおり、そのまま使っていました。ただ車両を制作した会社のプレートは取り外されています。非常に親切な乗務員で最後には記念撮影をして来ました。

(写真)「丸の内線」の車掌

また、このページの読者の方から名古屋市の市営地下鉄の電車が走行しているはずであるとの情報をいただき、注目してみていましたが、日本語で「乗務員室」と書かれている車両を見かけました。名古屋地下鉄のホームページを作成している方に尋ねましたところ、元名古屋市営地下鉄・東山線車両250形車両で黄電と呼ばれていた電車なのだそうです。名古屋市から30両ほどブエノス・アイレスに来たそうです。

(写真)元名古屋市営地下鉄・東山線250形車両

(写真)同じ路線の旧型電車

駅の構内には色々な売店や軽食堂があります。

地下鉄構内に在る軽食堂

(写真)地下街:地下鉄の駅までのアクセス(7月9日駅)

(写真)他の路線の内部

(写真)他の路線の外観

それにしても5路線とはいかにも少ない印象を受けます。せめても10路線程度には拡張して欲しい物ですね。


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田中 宛メール送信願います(パラグアイ共和国 アスンシオン市)